バイクの高速道路における法定速度は100km/hと乗用車と同じです。これは一般道路のほぼ2倍に当たりますが、速度が2倍になると、制動距離は約4倍にまでふくれあがります。例えば、ブレーキが効いて停止するまでの制動距離は、50km/hで約18m、100km/hになると約84m必要とされています。さらに、危険を発見してからブレーキを実際に作動させるまでの空走距離を入れると100km/hで走行している場合の停止距離は100m以上になります。これは乾燥した舗装路を想定した参考値なので、路面が濡れていたりタンデム(2人乗り)でバイクが重かったりした場合、さらには運転者の技量など、あらゆる条件によって停止距離は伸びる傾向にあります。高速道路では十分な車間距離をとることが重要です。高速道路でブレーキをかける際は、まず車体をまっすぐにしておきます。落ち着いて、前後のブレーキは同時にかけましょう。ニーグリップ(ひざで燃料タンクを挟み込むこと)を意識して自分の身体を前のめりにさせないよう、下半身でしっかりバイクを保持します。ハンドルを押さえこまないように注意してください。
高速道路では風に注意しましょう。高速道路上にはトンネルの出入口や橋の上、切通しなど横風が発生する場所に風の向きと強さがわかる「吹き流し」が設置されています。吹き流しの角度でおおよその風の強さが確認できます。吹き流しがはためく角度が約45°で風速約5m以上、吹き流しが水平だと風速が10m以上吹いていることを示しています。こうした状況下では強い横風にあおられて転倒しないよう、速度を控えめにして走ります。また、トラックなど大型車が接近してくると風圧で車体が外側に押されたり、大型車側に車体が吸い寄せられたりする場合があります。このような場合も、あわてて急なハンドル操作をすることが一番危険です。落ち着いて、ニーグリップで下半身とバイクを一体化させるように意識して走りましょう。また、わだちや道路の凹凸で前輪がとられ車体がフラついた場合も基本的には同じようにニーグリップで対処します。バイクはタイヤに駆動力がかかって走行している限り、起き上がろうとする力が働いています。あわててハンドルを押さえ込まず、自分が進みたい方向をまっすぐ見て、落ち着いて運転しましょう。
高速道路には、パーキングエリアはおおよそ15km間隔、サービスエリアは50km間隔を目安に設置されています。必ずしもこの距離ごとに設置されているわけではありませんが、定期的な休憩を取る目安になります。高速道路は安定して走行できますが、空気抵抗は速度の二乗に比例するため高速走行時の風圧は身体に堪えます。また、高速走行時は精神的にも緊張した状態が続くため予想以上に疲れが蓄積する傾向にあります。さらに、単調な運転操作により疲れを実感しにくいので、意識してパーキングエリアやサービスエリアなどに立ち寄り休憩を取るようにしましょう。疲労がたまると判断能力が低下する傾向にあり、危険な場面で対処が遅れて事故につながる場合も考えられます。疲労を少しでも感じたら必ず休憩を取り、余裕をもって走行しましょう。
2016年09月現在