JAFは真夏の炎天下で車内温度がどのように変化するのか、テストを行いました。8月の晴天で外気温35℃の状況下において、昼12時から16時の4時間、車内温度を測定しました。窓を閉め切った車両(黒色のボディ)では、エンジンを停止させてわずか30分後の12時30分頃には車内温度は約45℃を記録。その後も上昇を続け、15時頃には55℃を超えてしまいました。車両の窓をそれぞれ3㎝程度開けた状態の車両では、30分後の車内温度は約40℃、15時の時点では約45℃と若干の低下がみられましたが、それでも車内に留まるには厳しい車内温度になることが分かりました。
窓を3cm程度開けた状態では、締め切った車内温度と比べてわずかながら低下の傾向がみられましたが、この状態であっても身体にとって厳しい状況であることには変わりなく、脱水症状や熱中症を招く恐れがあるため車内に留まるのは止めましょう。また、フロントガラスの全面をサンシェードと呼ばれる用品で覆った場合でも、直射日光を遮る効果は高いものの温度抑制効果はあまり望めないことが分かりました。さらに、エアコンで適温が保たれている車内でも、エンジンを停止させ5分経過した時点で車内温度はすでに約5℃上昇し、15分後には熱中症の指標である熱中症指数が危険レベルにまで達してしまいました。こうした状況下に子供を放置するのは危険です。また、加齢により体力の低下した高齢者は体温調整機能が低下していることがあるため、同様に危険です。
さらにこのテストでは、直射日光が当たるダッシュボード上に、スマートフォンやライター等の日用品を置いて、時間の経過とともに状態がどのように変化するのかを調べました。カーナビの代わりとして車内で使われることもあるスマートフォンでは、液晶画面に「高温注意」と警告が表示され、一部の機能を除いて使用不能になりました。他の日用品では、一般に市販されている100円ライター(外装が黄色と青色の2個を用意)は、両方とも2~3時間でケースに亀裂が生じ、ガスが抜け出てしまいました。画材であるクレヨンでは開始後、約1時間で黒色から溶け始め、約1時間20分で全ての色が溶けて流れ出しました。フライパン上に割った生卵は、約1時間で白身の周りが白くなり、約2時間で全体が白く固まりました。また、消せるボールペンで書いたメモは、約2時間ほどで消えて見えなくなりました。消せるボールペンを使用した場合は、大事なメモの放置に用心が必要です。今回のテストでは、スプレー缶やライターが破裂したり、引火したりすることはありませんでしたが、可燃性の高い危険物は、車内温度の上昇により破裂や引火の可能性が高くなるため、車内に放置するのは止めましょう。また、直射日光にさらされた車両に乗り込む際は、窓またはドアを開け放ち車内の換気を行なうとともに、高温になりがちなハンドルに手を触れる時は火傷に注意しましょう。
2015年07月現在